危険な施術と効果のない電気治療に関する記事。
ちょっと怖い記事を見つけたので、シェアします。
首・肩のこりや痛みを経験したことのない人はいないだろう。まさに国民病だが、それを治療する整形外科、整骨院などの実態はあまりにお粗末。下手な治療で被害に遭わないために知っておきたいこと――。
首の急旋回で寝たきりに 「医学的知識のない整骨院では、しばしば危険な施術が行われています。 例えば、関西を中心に流行っている頸椎スラスト術。首をグイッと急旋回させるものです。これは26年も前に厚生省(当時)が、禁止通達を出しているのですが、そこには罰則規定がないのです。だから現時点でも整骨院などではやりたい放題やっている。
スポーツ医療を提供している病院が柔道整復師専門学校を経営していて、そこで頸椎スラスト術を教えている例もあります。
私のところの患者さんでも、この施術によってほぼ寝たきりになってしまっている人が2人もいます。共に裁判沙汰になりました」
こう語るのは、大阪の整形外科医、喜多保文氏だ。喜多氏が続ける。
「単に肩こりとか疲労感の改善のために、軽い気持ちで整骨院に行ったばかりに、これほどの大事になってしまう。首や肩はそれほどデリケートな部分なのです。
整骨院では骨格の歪みを外圧によって矯正する治療が行われることがありますが、医学的にそんなことは治療になりえないのは明らかです」
首や肩の慢性的なこりや痛みに悩まされながらも、原因がはっきりせずに、強いマッサージなどを受けて症状が悪化してしまうケースが急増している。
さかいクリニックグループ代表院長の酒井慎太郎氏が語る。 (テレビ番組でも何度も紹介されているゴットハンドの先生)
「今の医療機関の問題点として、目の前の痛みをとることに集中しすぎてしまうところがあります。なぜ、その痛みがあるのかという原因を探ろうとしないのです。
たとえば頸椎に異常がある場合は、いくらマッサージしてもよくなりません。むしろ強い力を加えることでダメージを与えてしまうこともある」
「揉む」のは医療ではない! 首や肩の痛みを感じたとき、どこにかかればいいのか――誰もが抱える、悩ましい問題だ。
柔道整復師(以った人だけが開院することができる整骨院は保険適用で施術を行うことができる。また同じく国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」が行う施術も保険適用となる。だから、「保険が効くなら、きちんとした医療行為だろう」と思って、なんとなく整骨院に通っている患者は多い。
だが、そのように安易に治療先を選ぶのは非常に危険だ。
前出の喜多氏が語る。
「整骨院は、柔整師の資格を持っている人が開業していますが、柔整師に認められているのは『打撲、捻挫、脱臼及び骨折に対して外科手段、薬品の投与等の方法によらない、応急的もしくは医療補助的方法によりその回復を図ること』と定められており、肩こりの施術は認められていません。
「柔整師はたいてい白衣を着ているので、患者もきちんと診察を受けていると勘違いしています。しかし、実際には大事なことが抜け落ちています。『検査』と『診断』の視点です。整骨院は医療機関でないため検査や診断は許可されておらず、いきなり施術から始まっている。
『骨が歪んでいます、ずれていますね。だから毎日通ってください。私が施術すると少しずつ治っていきますからね』というのが常套句ですが、きちんと検査しているわけでもないのに、治療をするのはたいへん危険なことです」(喜多氏)
コンビニより多い整骨院 東京脳神経センター理事長の松井孝嘉氏も、首を揉むのは危険行為だと見ている。
「かつては首と肩をいっしょくたにして『肩こり』と言われてきましたが、実際には首と肩はまったく違う部位です。肩はある程度、揉んでも大丈夫だが、首は脳と同じくらい非常にデリケートなところですから、強く揉んではいけません。
肩がこったとしても神経症状が出るようなことはありませんが、首の筋肉がこると自律神経のうちの副交感神経が働かなくなり、さまざまな問題が生じてきます。
首こり、首の不調として出てくる主な症状としては、頭痛、めまい、原因不明の疲労、自律神経失調症、不眠症、血圧不安定、ドライアイ、機能性胃腸症、不眠症、うつなど非常に多岐にわたります。
このようなデリケートな部位を安易にマッサージしてはいけない。私の患者でも整骨院やカイロプラクティック、マッサージ治療院に行って、施術を受けて、治療直後は楽になったような気がしたものの、翌日はこりがかえってひどくなるという悪循環に陥っている人がたくさんいます」
このようなリスクも踏まえず、なんとなく首をマッサージするような接骨・整骨院に通ってしまうと、取り返しのきかない事態になりかねない。治療先選びには注意が必要だが、本当によい接骨・整骨院を選ぶのはなかなか難しい。
整骨院運営のコンサルタントが語る。
「かつては過当競争を防ぐために制限されていた柔整師養成学校の申請が、小泉厚生大臣下で緩和されました。その結果、柔整師の人口、施術所数は急増した(グラフ参照)。いまや整骨院の数は4万5000所を超えており、全国のコンビニの数よりも多い。
当然過当競争も起こっていて、整骨院では行うべきでない治療を日常的に行ったり、資格もないのにマッサージを行ったりするケースが当たり前になっています。このなかには国民健康保険の保険料から医療費が支払われているケースもある。
また、マッサージ、接骨・整骨院での施術、カイロプラクティック、指圧などによって、痛みや怪我などの健康被害にあったという訴えがこの10年ほどで倍増しているという国民生活センターの集計もあります」
整骨院では、資格を取る前の専門学校生がアルバイトで働いている場合も多い。
「柔整師の資格を持っている人でも、あん摩マッサージ指圧師の資格を持っていなければ揉む治療は行えません。もちろん、それで料金を取ったり、保険請求をしてはいけないのですが、無資格で行っているところは多い。しかも、それが放置されている」(前出の喜多氏)
電気治療は詐欺に近い 街中の無資格のマッサージ店は、『マッサージ』と看板を掲げて営業することができないので、『リラクゼーション』や『ほぐし』と謳っている。
「それらは完全に無資格の営業ですが、私が知っている限りでは意外に事故が起こりやすいのは街中のマッサージ店よりも、柔整師の整骨院。ここで施術を受け、健康被害にあうケースが非常に多い」(喜多氏)
なかには不正請求を日常的に行う悪質な業者もいる。先のコンサルタントの弁。
「この国で使われている柔道整復療養費は4000億円に上りますが、他の医療費に比べて請求のしかた、審査のしかたが滅茶苦茶。実際には必要のない治療を長期的に続けさせたり、施術の実体のない不正請求もしばしば行われており、厚労省も問題視している。
整骨院からしてみれば、慢性的な肩や首の痛みをもつ高齢者はいちばんの金づるなんです」
整骨院の他に整形外科でも行われる治療に、電気治療がある。パッドのようなものを直接肌に貼り付け、弱い電気を流す治療法で、接骨院・整骨院でもよく行われている。五十肩、首の痛み、あらゆる症状の治療に使われる。しかし、その治療効果はきわめて不透明だ。
「電気治療は、ごく軽いものであれば血行をよくする場合があるので、症状は短期的には改善されるかもしれません。ただし、それで首や肩の根本が治るわけではない」(前出の酒井氏)
前出のコンサルタントが語る。
「いま、多くの整形外科や整骨院で行われている電気治療は、一種の『詐欺行為』に近い。つまり施術者も本当はほとんど効果がないとわかっているのに、保険治療として認められているからクリニック経営のためにやっている。
本来は首や肩の痛みに関しても、科学的に効果があるかどうか、きちんと調査研究がなされるべきなのですが、優秀な研究者たちはがんや糖尿病といったジャンルに集中してしまって、まともな研究が行われない。日本の整形外科分野は本当に旧態依然としている」
そんな時代遅れの治療で大切な首や肩を破壊されないよう、十分な注意が必要だ。 自分に合う治療をよく考えて、受けるのが大事ですね。
おひさま整体